学生の頃に、とある大学の商学部に在籍していました。ビジネスのこと、経済のこと、法律のこと等がとても「面白い」と感じ、楽しく学んでいました。社会人になってからも、重めの経済書や、海外の論文なんかを楽しみながら読んでいます(変わっていますね (^^; 、奥さんからもそう言われます)

そんな私の一つの夢は、今は幼い娘たちが社会人になるような頃に、私が大好きな商学/経済学の魅力をちょっとだけ感じてもらうことです。まあ、たぶん、その夢は叶わないとも感じていますが(笑) お友達とのおしゃべり、彼氏君とのデート、楽しい映画や好きな音楽、そんな中に「経済」が入るイメージが持てないですね。

でも、そんな夢に向けて、今の世の中で起こっている商学や経済学に関係することを、未来の娘たちに語るような感じで説明していこうと思います。難しい言葉はなるべく使わず、そして、「へぇ~、ちょっと面白いかも」なんて思ってくれるような内容になるように、お父さん頑張っていきますね。

 

前置きが長くなりました。では、今回の話を始めますね。
為替介入という心理戦 」についてです。

目次

 

・はじめに

・22年9月為替介入の目的とは?

・たくさんの方が読みを「外した」出来事でした

・用意周到な財務省、今回は一枚うわてでした♪

・雑談:これが「投資」だったら大成功?

・おわりに

はじめに

9/22に実行された為替介入について、その詳細が公開されてきましたね。9/30に財務省から公開された「外国為替平衡操作の実施状況」によると、今回の為替介入規模は約2兆8千億円だったことが分かりました。

 

今回の件、報道やネットでは色々な意見がありますが、かなり戦略的で「面白い」ものでした。少し解説させてください♪(詳しい方は飛ばして下さい!)

・外国為替平衡操作の実施状況 2022/9/30公開情報
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/feio/data/monthly/20220930.html

 

2022年9月為替介入の目的とは?

 

今回の為替介入の狙いは「円安の是正」ではなく「ボラティリティへの対処でした。「ボラティリティ」とは価格変動の度合いを示す言葉なのですが、ちょっと分かりにくいですよね。「ボラティリティの大きさを是正する」とは、ざっくりと「価格が上がったり、下がったりする幅が大きすぎると困る!だから、あまり変動しないようにする!」ということです。

 

 

実は、円安は「問題」ではあるのですが、国全体をみると円安は総合的にはプラスです。そして、政府・日銀ともに、このポイントは明言しています。ただ、変動が大きすぎると、損失が発生するリスクが増えるので、人々があまり近づかなくなり、想定外の動きにつながってしまいます。国としてはそんな事態は避けなくてはならないんです。

 

 

ではどうすればボラティリティを是正できるのか?ボラティリティを増幅させるような人達を「損」させてビックリさせる、そして冷静に行動させればいいんです。では、どうすればいいのか?それは彼らの裏をかくことです。この辺りが「心理戦」といった表現が使われる所以ですね。

たくさんの方が読みを「外した」出来事でした

 

今回の為替介入は外国市場だったようで、翌日23日の東京市場は祝日で休場のタイミングでした。日本の関係者は三連休にむけて動きが少し鈍るときですね。「先進国は市場に反する為替介入なんかしない」ということが『常識』ですので、

アメリカ等が認めないだろうから、為替介入には踏み込まないだろう。そもそも、金融政策で金利を上げないと言っているのだから、そもそも矛盾しているしね

といった論調も多かった時期です。

 

 

でも、為替介入直後にアメリカの財務省も容認するコメントが出て、反対の予想をしていた方々が慌てました(笑)

用意周到な財務省

日経記事を読むと、今回は日本の財務省の方が戦略的で、上手であったことが分かります。

 

 

昨年私もちょっとご紹介していたように、明らかな金融政策差が見えてきたので、円安が進むことは昨年の秋頃から規定路線でしたね。そして、日経の記事から、昨年の10月頃に米国のイエレン財務長官と話し始め、しっかりと準備してきていたことが分かります。ドル高是正ではなくボラティリティの抑制という目的ならば、アメリカとも握ることができたようですね。

 

 

昨年から準備しているとなると 「したたかで、財務省さんやりますね♪」 って思いました。

最後は完全に雑談です

■もし「投資」だったら、大成功(笑)
ちなみに、日本の為替介入、前回のメインは円高是正でしたので、円が高い時にドルを大量に買いました。そして、今回は円安環境で円を大量に買っています

 

 

今回の為替介入は、昔安く買ったドルで円を買い戻しているとも取れるので、普通の投資家だと大成功ですね(笑)そういった目的では動かれていないと思いますが、金融のプロはちょっと違うなぁ、なんて思ってました。

 

■「これからどうなる?」を少し考えてみると?
「為替」って平気で20-30%ほど変動するものですので、将来の水準を想定することがなかなか難しいものとされています。でも、やはり気になるのは将来の水準ですよね。

 

今は「中央銀行の金融政策差」という「ルールとし易い明確な違い」があるため、そのルールに沿って市場に参加する方々が動かれていますが、少し気になる点もあります。それは「インフレは通貨の価値を下げる要素の一つ」という「常識」です。

 

少し考えて見れば、「インフレ」とは 「その通貨を持っているだけで、価値がドンドン下がっていってしまうため、同じものを買うための価格がドンドン上がること」 ですので、インフレとなる通貨の価値は下がる・安くなると考えることが妥当です。

 

ドル高が思いっきり進んだ今、次の変化としては「常識」に立ち返るような人たちがいても、そこまで違和感はありません。為替は参加している人たちの感覚や戦略で、大きく変動してしまうこともあるので、ちょっと注意しています。(これから発表される各社決算によって、「行き過ぎたドル高」のマイナス面が強調される可能性があることも、少しストーリーが変化する要素の一つかなぁ、なんて思いながら眺めています。)

 

おわりに

今回は完全に雑談だらけでした。たまにはこんな回があってもいいですかね。経済や金融って、たまにこんな感じでちょっとした小説のような時もあって、意外に楽しいんです♪

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