学生の頃に、とある大学の商学部に在籍していました。ビジネスのこと、経済のこと、法律のこと等がとても「面白い」と感じ、楽しく学んでいました。社会人になってからも、重めの経済書や、海外の論文なんかを楽しみながら読んでいます(変わっていますね (^^; 、奥さんからもそう言われます)
そんな私の一つの夢は、今は幼い娘たちが社会人になるような頃に、私が大好きな商学/経済学の魅力をちょっとだけ感じてもらうことです。まあ、たぶん、その夢は叶わないとも感じていますが(笑) お友達とのおしゃべり、彼氏君とのデート、楽しい映画や好きな音楽、そんな中に「経済」が入るイメージが持てないですね。
でも、そんな夢に向けて、今の世の中で起こっている商学や経済学に関係することを、未来の娘たちに語るような感じで説明していこうと思います。難しい言葉はなるべく使わず、そして、「へぇ~、ちょっと面白いかも」なんて思ってくれるような内容になるように、お父さん頑張っていきますね。
前置きが長くなりました。では、今回の話を始めますね。
「2022年12月のFOMC結果・経済見通し 」についてです。
目次
・はじめに:昨年予測の振り返り
・経済最新状況トピックス
2022年12月のFOMCのちょっとした面白さ♪
・2023年はどんな年になりそう?
・おわりに
はじめに:昨年予測の振り返り
昨年末に、以下のような想定を行いました。
・インフレ傾向が定着しつつあるため、米国中央銀行制度は利上げと金融緩和の縮小そして資産の圧縮に取り組む。その影響で、経済は停滞傾向に陥る可能性が高い。
・日米の金融政策の違いから、為替は円安方向に触れる可能性が高い
方向性は大体合っていてホッとしています。やはり、データや情報をのんびり見ていくことは楽しくて大切ですね♪
ただ、やはり細部は異なり、そして驚きの連続でした。年初のウクライナ戦争勃発、損得だとロシアも大きな被害を受けるので「局所的な小競り合い程度でおさめるのでは?」と想定しましたが、まさかの大規模化と長期化。原油価格なども大きな影響を受けました。さらにそこから、「環境投資」についての損得ラインがガラッと変わるといった影響までありました。まだまだ混乱が続いています。
(ちょっと脱線しますが、多くの企業の環境投資姿勢に影響を与えたブラックロックのCEOが、環境投資賛成派と反対派の両方から批判されるようになったことも、これらの変化が影響していそうに感じています。来年23年も環境は話題の中心にいそうですね。)
では、いつも通り、経済に関する最新状況について、一次情報を見ていきます。今回の内容はFOMC声明原文です。
経済最新状況トピックス:
22年12月FOMCのちょっとした面白さ
今年は最後まで米国の金融政策に振り回されました。2022年12月14日に米国FRBがFOMCの声明を発表し、政策金利は0.5%の利上げとなる4.25-4.5%となりました。
(写真出典元:FRBサイト)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20221214a.htm
今回のFOMCのちょっとした面白さについて、少しご紹介させてください♪(詳しい方は飛ばしてくださいね笑)
・今年は「異常」でした…
通常は0.25%単位で金利を操作するのですが、6月からの4回はインフレの異常な厳しさに対応するために、通常の3倍となる0.75%もの速さで金利を上げてきました。
最近はもう慣れてしまいましたが、これは異常な速度でした。米国ゼロ金利政策を止めた3月以降、政策金利が4%も上昇しています。今回の「0.5%」は前回よりは「減速」していますが、通常の2倍の速度での利上げなんです…
脱線しますが、もしこんな事態が日本で起きたら、変動金利で家を購入している人が多いことなどもあり、社会不安につながるくらいのインパクトがある速度です…
(米国では住宅は通常固定ローンで購入します。そちらの方が購入するものの特徴と合っている気がしますよね。日本の市場は少し特殊という見方が実は多いです。)
・利上げの効果は出ているの?
話を米国に戻しまして、この急ピッチな利上げによって、住宅ローンなどが高騰し、住宅の需要が下がることで価格が下落するなど、徐々に効果が見られ始めています。
一方で、米国の労働市場はまだまだタイトで、賃金上昇とそれに伴う主にサービス関連のインフレは未だに続いています…
インフレ抑制は必要なのに、これ以上の対応は経済への影響が大きすぎるという難しい状況です。来年2023年の経済動向を見通すためにも、今後のFRBの動きを世界中のアナリストが気にしています。
ちょっと細かな資料なのですが、今回はそのFRBの動きを見るためのヒントが公開されていたので、次で少し見ていきたいと思います。(経済を見るときは、少し細かな情報やデータの方が意外に楽しかく、そして役に立ったりします♪)
2023年はどんな年になりそう?
2023年の経済見通し : Summary of Economic Projectionsより
今回はFOMCの声明とともに、FOMC参加者の経済見通しや金利見通しなどが示される「Summary of Economic Projections」も併せて公開されました。
(日本の新聞などで取り上げられることは少ないのですが、こちらを見ているかどうかで、米国の金融政策に興味があるか無いかが分かるくらい、意外に重要な資料なんです。)
ちょっと硬い資料なのですが、よく見てみると意外に楽しいので、少しご紹介させてください♪
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20221214.pdf
■金利見通し、全会一致と言いつつ、少し先は意外にバラバラ(笑)
こちらのように、FOMC参加者の皆様の金利見通しが示されています。
見てわかる通り、確かに今回2022年は0.5%利上げで一致しているのですが、来年以降は参加者も意見が見事なまでにバラバラであることが分かりますね。
一部の方はインフレをしっかりと抑制するために、金利をしっかりと上げることを重視していますが、逆に経済への影響を考え早めにしっかりと金利を下げていく必要があると見ている人もいます。
FOMCに参加されている皆様でも意見が大きく異なるほど、実は難しい状況に直面していることが見えますね。
■GDP見通し:こちらもバラバラ…
金利見通しがバラバラなので、影響を受けるGDP見通しももちろんバラバラです。一部の皆様は経済成長せず、昨年比で下落することを想定している方までいます。
これら皆様の見通しを、「中央値」などで無理やりまとめた表(下図)も公開されています。
米国にとっての「長期的な経済成長速度見通し:1.8%」に対して来年と再来年は0.5%, 1.6%ですので、経済停滞はもう少し続きそうですね。金融政策を司る皆様が、通常の経済に戻るのは2025年以降と考えていることは、結構インパクトがあります。
おわりに:2023年についての妄想
来年23年の見通しですが、今回ご紹介した通りFOMCに参加している方々が、良くて経済成長の減速、一部の方は減少まで想定しているため、来年23年が厳しい年になると考えることが妥当ですね。そして、金融政策のエキスパートの皆様が、ここまで見通しがバラバラですので、かなり見通しにくい一年になることも既定路線です。
(コラム:雇用とインフレの扱いにくさ、見通しにくさ
インフレの起点が「タイトな労働市場」となっていますので、賃金の伸びが鈍化するくらいまで、ある程度の労働市場の調整は必要となりそうです。ただ、米国FRBは各国中央銀行の中では少し珍しく通過の安定だけでなく「雇用」にも責任を持っているため、このトレードオフは扱いが難しそうですね。他にも難しさがありますが、この労働市場の扱いにくさが、見通しにくさにつながっています。)
そして、金融政策の効果は一定の時間差を持って実態経済に影響を与えるものなので、多くの方の脳裏に「実は既に十分締め付けていて、これ以上は経済を不必要に痛めつけてしまうのでは…?」という不安が浮かんでいます。ここも扱いが難しく、FRB自身も懸念を示しているほどです。
2023年はやはり、ある程度経済が停滞することを前提として考える方が良さそうですね…少なくとも薔薇色ではありません。
(コラム:結構気になる為替に関する妄想です
為替は多くの要素が絡むので予測が難しいのですが、今年の円安を引き起こした日米の金融政策差などは徐々にマイルドになっていきますので、基本的には円高方向への移行が発生しうると見ることが前提となりそうです。他の各種情報に注意が必要ですが…)
長くなりすぎましたので、ここで終えますね(笑)
今回もありがとうございました!
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