学生の頃に、とある大学の商学部に在籍していました。ビジネスのこと、経済のこと、法律のこと等がとても「面白い」と感じ、楽しく学んでいました。社会人になってからも、重めの経済書や、海外の論文なんかを楽しみながら読んでいます(変わっていますね (^^; 、奥さんからもそう言われます)
そんな私の一つの夢は、今は幼い娘たちが社会人になるような頃に、私が大好きな商学/経済学の魅力をちょっとだけ感じてもらうことです。まあ、たぶん、その夢は叶わないとも感じていますが(笑) お友達とのおしゃべり、彼氏君とのデート、楽しい映画や好きな音楽、そんな中に「経済」が入るイメージが持てないですね。
でも、そんな夢に向けて、今の世の中で起こっている商学や経済学に関係することを、未来の娘たちに語るような感じで説明していこうと思います。難しい言葉はなるべく使わず、そして、「へぇ~、ちょっと面白いかも」なんて思ってくれるような内容になるように、お父さん頑張っていきますね。
前置きが長くなりました。では、今回の話を始めますね。
「世界経済はどうなる?アメリカのインフレと金利動向から紐解く 」についてです。
目次
・はじめに
・世界経済、これからどうなる?
・アメリカの住宅ローン金利が急上昇
・おわりに
はじめに
世界経済の動向を見る上で重要な要素の一つは、経済規模の大きなアメリカ経済の動向ですね。最近はウクライナ危機のニュースの影に少し隠れていますが、経済にとっては、もしかしたらそれ以上のインパクトがある事象がアメリカの「インフレ」と「金利」です。
その動向をつかむために役に立つ情報の一つが、アメリカの金融政策を決定する米連邦公開市場委員会(FOMC)の内容です。
4/6に3月に開催された会議の議事録が公開されました。ちょっとマニアックな情報ですが、やはりこういった一次情報が大事ですので、今回はこちらを一緒にのんびりと紐解いていきますね。
・最初に結論:
ちなみに結論をざっくりと紹介すると「FRB:インフレが深刻なので、これからは利上げをしっかり行っていく!」という考えが示されました。これから、経済は少し「落ち着いてくる」と見るとよさそうです。(市場関係者の一部は、ブレーキをかけすぎて、経済が停滞してしまうことも気にしています。それほど大きな変化が始まっています。)
では、見ていきますね。
世界経済はこれからどうなる?2022年3月のFOMC結果概要
このように、詳細な議事録が公開されます。ここから、アメリカの金融動向を見ていきます♫
画像出典元:FOMC
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20220316.htm
■これから、アメリカの金利はどうなる?
これまでご紹介してきた通り 「金利を上げて経済の過熱を少し冷まし、インフレを抑制する」 ことが規定路線となっていました。
通常は経済への影響を一定に保つために「0.25%」ずつ政策金利を上げるのですが、
今回のFOMCに参加した多くの方から、通常の倍となる0・5%の引き上げ幅を支持する声が上がっていたことが示されました。これで、これからは0.5%という急な金利上昇が選択される可能性を考慮する必要が出てきました。
もう一歩、少し意外であった点があります。それは、ロシアのウクライナ侵攻が無ければ、今回から0.5%の利上げの可能性もあったことです。
FRB関係者が本気でインフレ退治を行う考えであることがわかる議事録内容でした。
■金融緩和の行方は?
COVID-19影響を踏まえアメリカでも金融緩和政策が続けられていますが、その結果FRBは9兆ドルもの資産を保有している状況です。現在もまだ緩和が続いていますが、その緩和がどんどん縮小されています。今の注目点は、逆に金融引き締めに向かうかどうかでした。
では、今回の議事録をみていきますね。
・現在のインフレと労働環境を踏まえ、5月に量的引き締め(QT)が始まる見込みです。そして、そのペースは月950億ドルを上限(内訳は国債600億ドル、住宅ローン担保証券350億ドル)としています。こちら、前回(2017~19年)の倍となるペースですので、なかなかの規模感で圧縮を進めていく予定です。(過去は、最大でも500億ドルでした。)
日経新聞によると、「(圧縮幅の)上限はもっと高くてもいいし、なくてもいい」議論の途中では何人かの参加者からこんな発言まで飛び出していたそうです。市場では長期金利の指標になる10年物国債利回りが一時2.65%台まで上昇(価格は下落)、ここ1カ月で0.8%以上の大幅高。動きが激しいですね。
政策金利上昇も、金融引き締めも、COVID-19に対する過度な経済下支え策の反動です。
これらによって何が起きるのか? 次へ⇨
アメリカの住宅ローン金利が急上昇
アメリカ経済を見る上で欠かせない情報が「住宅関連の経済データ」です。理由は、住宅購入時には、各種家電や家具等も購入することから、波及効果が大きいためですね。そして、その住宅を購入する際にはローンを組むことになりますが、この金利の増減が、住宅購買意欲に大きな影響を与えます。
今回はアメリカの「住宅ローン銀行協会(MBA)」の週次住宅ローン申請状況調査という、こちらもちょっとマニアックな情報を見ていきます。(ローンを組む人の増減から、家の購買意欲を見ることができます。減っていれば、これから景気が悪くなりそうと感じる要素の一つです。)
画像出典元:MBA
上記の通り、住宅ローンの申請件数は前週比-6.3%の減少でした。理由はもちろん、住宅ローン利率の急上昇です。
例えば、上記説明の通り30年固定住宅ローン金利は4.9%となっています。1年前に比べて+1.5%の上昇です。
これは固定金利の話ですが、変動金利でローンを組んでいる方が多い日本で、こんなに大きな金利変動があったら、ちょっとしたパニックになりそうです…
(住宅建築増加による経済浮上効果よりも、FRBはインフレ退治を優先し始めていることが分かる内容ですね。)
おわりに、ちょっと妄想
今回は、少しマニアックでしたが、FOMC議事録に書いてある内容や、それに関連する経済データを一緒にみてきました。
FRBがインフレを問題視していて、政策金利を上げたり・資産を圧縮したりすることによる経済への多少のダメージよりも 「インフレを抑える!」 という覚悟の方が強いように感じます。利上げも金融緩和も、経済の過熱を抑える対応ですので、米国を中心に経済には少しマイナス要因となると考えられます。アメリカの大変低い失業率も、今後は少し増えると思いますし、GDP成長率なども若干弱めになるだろうと想定できます。
このアメリカの変化は、多くの国にも影響を与えます。昨今の日本の円安も、アメリカの金利政策によるところが大きいです。また、新興国通貨も下落していくことが想定されます。ただでさえウクライナ危機による小麦価格の上昇で政情不安となりつつある中、通貨が下落すると暴動リスクすらありそうです…
ただ、ウクライナ情勢など、まだまだ変数が多いことから、今回FRBが示した方向性が変わる可能性もあるため、引き続きデータを見ながら柔軟に検討していきたいと感じています。
(こちらの各種想定、投資などに使用されても責任は一切取れませんので、ご了承くださいね。)
とてもマニアックな内容にも関わらず、最後まで読んで下さり、大変ありがとうございました。
過去のブログ記事はこちら
https://3shimaipapa.com
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