学生の頃に、とある大学の商学部に在籍していました。ビジネスのこと、経済のこと、法律のこと等がとても「面白い」と感じ、楽しく学んでいました。社会人になってからも、重めの経済書や、海外の論文なんかを楽しみながら読んでいます(変わっていますね (^^; 、奥さんからもそう言われます)
そんな私の一つの夢は、今は幼い娘たちが社会人になるような頃に、私が大好きな商学/経済学の魅力をちょっとだけ感じてもらうことです。まあ、たぶん、その夢は叶わないとも感じていますが(笑) お友達とのおしゃべり、彼氏君とのデート、楽しい映画や好きな音楽、そんな中に「経済」が入るイメージが持てないですね。
でも、そんな夢に向けて、今の世の中で起こっている商学や経済学に関係することを、未来の娘たちに語るような感じで説明していこうと思います。難しい言葉はなるべく使わず、そして、「へぇ~、ちょっと面白いかも」なんて思ってくれるような内容になるように、お父さん頑張っていきますね。
前置きが長くなりました。では、今回の話を始めますね。
「銀行破綻の連鎖・・・ 」についてです。
目次
・はじめに
・過去の分析振り返り 分析や想定は当たっていたの?
・銀行破綻の連鎖…
・これからの経済はどうなる?
・終わりに
はじめに
最近、経済では荒い動きが続いていますね。ただ、一昨年/昨年より「各種データの動きや各国政府と中央銀行などの姿勢を見る限り、2023年は慌ただしい年になりそうですね…」とご紹介してきましたので、読んで下さっていた方からすると「うん、想定の範囲内だよね」といった感じかと思います。
今回は、過去の想定を少し検証しつつ、最近の銀行各社の破綻・買収の動きをのんびりと眺めていきます。そして、これからの動きについても少し見ていきますね。
(コメント:後で少し解説しますが、米国の地銀破綻は想定内でしたが、クレディスイスの危機/UBSによる買収は少し質が異なりました。確かに「グローバルなシステム上重要な銀行(G―SIBs)」の中では、クレディスイスはかなりイマイチな経営でしたが、即破綻するようなことは想定できていませんでした。そして、ここ一週間ほどの米国やスイス当局の機敏さもまた、想定を超えていました。将来想定って、やはり難しいですね…)
過去の分析振り返り
将来想定は当たっていたの?
まあまあの想定でしたので、少しホッとしています(笑)
少し振り返っていきますね。
これまでの将来想定①
インフレが思ったほどには落ち着かない…
過去の想定:
利上げは経済を落ち着かせてインフレを抑えるためのもので、利上げの効果は時間差で出てきます。住宅価格の下落や貿易額の減少などは起こっても、労働力不足に伴う賃金上昇が扱いにくいと想定してきました
←基本的には想定通りの動きです。これから主にモノの価格は落ち着きを見せていきますが、サービス等は賃金上昇の影響により、なかなか下がらない時期がもう少し続きそうです。
(賃金は一度上がるとなかなか止まらない/スティッキーという特徴があり、これは「教科書通り」の動きなんです)
これまでの将来想定②
一方で、経済は確実に利上げ等の影響を受ける…
過去の想定:
ただ、国債の利率が上がるということは、債権価格が下がりますので (この辺りが一瞬感覚と違くてヤヤコシイですよね…いつか落ち着いた頃に解説しますね) 、売却すると損失計上が必要となってしまいます。
さらに、国債の利率は株式投資の価値計算の前提にも使われているので(←ちょっとざっくりとした言い方ですが)、債券/株価影響があることも想定の前提としてご紹介してきました。(参照:コロナ直後のレポートなどにて)
←基本的にこちらも想定通りでした、下と併せて少し解説しますね。
これまでの将来想定③
「マネーゲーム」の逆回転
過去の想定:
そして、コロナ下で膨らんだマネーが元に戻っていくと紹介してきました。マネーが膨らんだ象徴がテック系のスタートアップ投資と暗号資産でしたので、このセクターが近い将来に影響を受けることも見えていましたね。(参照:一昨年のレポート)
←経済指標やデータの多くは、明らかに不自然に上がると下がり、そして異様に下がるとちゃんと上がります(時々一方向への動きはありますが、そこには理由があります)。コロナ対策により市場にマネーが溢れすぎ、それらの多くがテック企業と暗号資産に流れ込んでいましたので、近年の逆回転も異様な様相となりつつありました。
銀行破綻の連鎖…
・マネーゲームの逆回転① 米国テック系銀行の破綻 SVB破綻
最近では、カリフォルニアを基盤とするシリコンバレーバンク(SVB)が 「テック系企業の預金流出」 → 「穴埋めのために値下がりした債券売却による損失計上」 を主因とする破綻に至りましたが、これの主要因はマネーの逆転によるもので、けっこう「普通」の動きでした。
(ちなみに、ちょっと複雑なのであまり報道されていませんが、再建策をゴールドマンサックスと画策していたものの失敗したことがトドメを刺していました…天下のゴールドマンサックスも読み間違えるほどに、今は色々と動きと変化が速い環境ですね。ただ、失敗してもゴールドマンが儲かるようになっていたようで、このあたりは流石です。)
ファイナンシャルタイムス
https://www.ft.com/content/8941212b-85d6-4bbf-8990-a51e7e4db671
そして、FTの記事によると、そこを追求され始めているようです。慌ただしいですね 笑)
・マネーゲームの逆回転② 米国暗号資産系銀行の破綻
そして、ニューヨーク地銀のシグネチャー・バンク破綻、廃業したサンディエゴのシルバーゲート銀行などは暗号資産に力を入れすぎていました。
(これらテック系と暗号資産系の銀行は少し特殊事例と考えてよかったのですが、2023/3/19に発表されたスイスの金融最大手UBSによるクレディスイスの買収は質の異なる出来事でした。確かにクレディスイスは近年かなり厳しい状況にいることは周知の事実であったものの、「グローバルなシステム上重要な銀行(G―SIBs)」として厳格な管理がなされていました。
そのクレディスイスから資金流出が一気に進み、電光石火の買収合意となりました。そして、その額も驚きで、たったの30億スイスフラン(約4200億円)でした。さらに、2.2兆円のAdditional Tire 1債権(AT1債)が無価値となった上に、スイス政府が買収に伴う損失について90億スイスフランの政府保証までつけました。この影響を見極めるまで、もうしばらくバタバタしそうですね。)
これまでの将来想定④
為替はおそらく130円ほどになる見込み
為替はロジックあまり無しに20%くらい平気で動くものなので、予想するものではなくヘッジするものと習ってきたことをご紹介しつつも、各種データから130円ほどは妥当と想定してきました。
←2023/3/21で131.1円ですので、まあまあでした。ただ、為替はロジカルじゃない動きが多いので、想定を止めようかと思っていますが(笑)
これからどうなる?
各国中銀の皆様がおっしゃる通り、基本的には「データ次第」の経済ですので、想定は難しい状況です。
ただ、それではちょっと面白くないので、少し感じていることを書きますね。
・景気鈍化はリスクとして見込んだ方が無難
昨年はインフレ退治のために、各国中銀が今までに無い速度で「利上げ」を行ったため、これから時間差を伴って経済が一気に「落ち着いていきます」。それによるインフレ抑制が目的ですので、この動きは中銀の皆さんの想定通りです。
ただ、今回そこに金融システムの大きな綻びが重なりました。こうなると、銀行は控えめの経営となり与信も抑えめとなっていきます。一部では、「銀行管理の厳格化」などの意見も聞こえ始めましたが、これが実現すると、より控えめになっていきます。
そして、それは企業が銀行から資金を借りにくくなり、投資も抑える方向に向かいます。その投資への協力で生計を立てていた企業の業績も悪くなっていくといった流れとなり、経済全体の元気がなくなっていくリスクがあります。
(こんな状況で開催される米国のFOMC(3/21-22開催)に世界中のアナリストが注目しています。開催直後の会見も興味深いですが、今回は少し期間を置いてから発行される詳細議事録も楽しそうです♪ ←変わっていますね笑)
今は動きが激しいため断定的な予測は難しく、やはりこれまでと同じくデータや一次情報をじっくりと見ていくことに価値がある時期ですね。引き続き、あれこれ一緒に眺めていくこととさせて下さい♪
おわりに
本日3/21のWBC日本VSメキシコ戦、本当に凄かったですね。その余韻に浸っていたいところですが、経済は当面まだまだ慌ただしい日々が続きそうです。
最近はバタバタしてましたので、ブログも停滞気味でしたが、これからの数年はちょっと注目ですので、のんびりと眺めていきますね。
(おまけ : ちなみに、銀行はそもそも預金全額を現金で預金者に渡すことはできませんので、今回のような資金流出はどんな銀行でも困ってしまいます。ネットでパッと資金を移せる時代となったため、すでに解決したと思われていた取付騒ぎ起因で、多くの銀行が破綻したり、しっかりと監督されていたグローバル銀行が世の中から消えるなんて、なんだか皮肉ですよね。)
今回もありがとうございました!
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