学生の頃に、とある大学の商学部に在籍していました。ビジネスのこと、経済のこと、法律のこと等がとても「面白い」と感じ、楽しく学んでいました。社会人になってからも、重めの経済書や、海外の論文なんかを楽しみながら読んでいます(変わっていますね (^^; 、奥さんからもそう言われます)

そんな私の一つの夢は、今は幼い娘たちが社会人になるような頃に、私が大好きな商学/経済学の魅力をちょっとだけ感じてもらうことです。まあ、たぶん、その夢は叶わないとも感じていますが(笑) お友達とのおしゃべり、彼氏君とのデート、楽しい映画や好きな音楽、そんな中に「経済」が入るイメージが持てないですね。

でも、そんな夢に向けて、今の世の中で起こっている商学や経済学に関係することを、未来の娘たちに語るような感じで説明していこうと思います。難しい言葉はなるべく使わず、そして、「へぇ~、ちょっと面白いかも」なんて思ってくれるような内容になるように、お父さん頑張っていきますね。

 

前置きが長くなりました。では、今回の話を始めますね。
積水ハウスのIR情報が面白い! 」についてです。

目次

 

・はじめに

積水ハウスさんの懐事情が分かる情報が公開されている?

・ちょっと気になる建築単価について

・ちょっと脱線①:これからの値上げについて考えてみる

・ちょっと脱線②:ブランド戦略ごとの価格帯も公開されています✨

・ちょっと脱線③:積水ハウス ノイエさんの狙いとは?(妄想です)

・おわりに

はじめに

家づくりの時にはいろんな情報が欲しくなりますよね。

 

 

・建築費用っていくらくらいかかるんだろう?

・これけら値上がりするかな?

・あのブランドの家に住みたいけど、買えるかな?

・将来どんな家が売られるのかな?

・建築会社さん、倒産したりしないよね…?

 

 

例えば「会社の社長さんが、ちょっと見せたく無いような事も含めて、正直に全てを語っているような情報」があったら、ちょっと見てみたいですよね。

 

 

そんな情報は無さそうですが、実はちゃんとあるんです。しかも無料です✨

 

 

それは会社が投資家に語っているIR情報(Investor Relations(インベスター・リレーションズ))です。ちょっと小難しい内容もあるのですが、紐解いてみると、投資家の皆様のみでなく、家を建てる方々にも役立つ情報が盛りだくさん

 

 

今回は積水ハウスさんをケースとして、IR情報からどんなことが分かるのか、ゆる~く解説させて下さい。

積水ハウスさんの懐事情が公開されている?

 

IR情報はいくつか種類があるのですが、今回は以下を眺めていきますね

以下画像出展元は積水ハウスさんのIRサイトです https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/ 

 

(このパートは情報元のご紹介のみですので、さらっと流してください!)

 

 

■ 第5次中期戦略

2020年度~2022年度の経営計画がしっかりと語られています。(投資家の皆様のみでなく、家を建てる皆様にとっても気になる「少し将来に主力となる家」や「積水ハウスさんとして販売したい想定価格イメージ」等も、もちろん掲載されています。)

https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/plan/

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■ 経営計画説明会(2022/3/11)

上の経営計画の進捗を報告する場です。ざっくりと説明すると「計画通りにちゃんと進めてきましたよ!」と、投資家の皆様に説明する場です。(高付加価値な住宅提供によりちゃんと単価アップを有言実行していることも、しっかりと語られています。投資家にとってはとても頼もしい内容でした。)

https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/library/ir_document/2022/2022_kessan/p20220311.pdf

 

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■ 統合報告書 (Value Report 2022 (2022年1月期))

中長期的な視点も含めて、会社の最新情報がしっかりと書かれている資料です。今回見ていく積水ハウス様の2022年1月期報告書は、なんと209ページ(!)もあります。

 

個人的には、ここ10年ほどの過去の動きもデータでじっくりと見ることができる点が気に入っています。(例えば、ここ10年で戸建建築数や戸建事業の売上がどう推移していたのか、といったことから、会社としての安全性がどのように変わっていったのか、などもちゃんと数字で見ることができます。こちらは今回はあまり言及していませんが、いつかご紹介させて下さい!)

https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/library/annual/

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■ 四半期報告資料

直近の3ヶ月の経営成績がのっています。速報のような位置づけでもおるので、情報量は少し限られますが、最新の状況を見るには便利な資料です。(例えば、最新の建築単価も公表されています。この後で触れますね。)

 

・プレゼンテーション資料

https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/library/ir_document/2022/2022_kessan/s20220609.pdf

 

・報告書

https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/library/ir_document/2022/2022_kessan/shihanki_72_1.pdf

 

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前置きが長くなりました(笑)では、どんなことが分かるか一緒に見ていきますね。

ちょっと気になる建築単価について:22年第一四半期は平均4,394万円でした

こちらは第5次中期経営計画(シート12)からの引用ですが、建築単価が着実に上昇してきたことが分かります。(この右肩あがりは、すごいです!)

 

https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/library/ir_document/2022/2022_kessan/p20220311.pdf

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ちなみに、最新決算の22年第一四半期(2022.2.1-4.30)では、一棟当たり単価が4,394万円と、前年同期の4,265万円から129万円増加したことが紹介されていました。単価アップの効果もあり今期の営業利益率は12.3%と、高い利益率をしっかりとキープされています。ユーザニーズをしっかりととらえ、昨今の資源価格高騰の影響を抑える価格アップを実現できていることが分かります。積水ハウスさん、やはりとても強いですね。

ちょっと脱線①
これからの値上げについて考えてみる

この平均単価の増加具合は、投資家目線だと大変頼もしいのですが、家を建てる立場から見るとちょっと不安になりますね(笑)ただ、原材料の高騰や為替変動などの影響もありますし、住宅の高付加価値化は止まら無さそうです。そして、主要競合の他社も同じく価格向上を進めていますし、そもそも人口減少下の日本で売上成長を目指すとなると、この傾向が変わることは無さそうですね…ちょっと憶測もあるので、直近の報道も眺めてみます。

 

2022/7/17付の日経新聞記事によれば、実際に積水ハウスは6月に値上げを行っています。そして、大和ハウス工業は10月に戸建住宅を約3%程(平均130万円程)上げるそうです。これは2年連続の値上げです。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF13CCT0T10C22A6000000

 

住宅価格の上昇が止まりませんが、各社の経営指標が大きく好転しているわけでもないので昨今の値上げは「事業継続のための必要性」がありそうです。やはり、この傾向がすぐ止まる・元に戻ると期待するのは厳しそうですね…

 

このまま主要各社の建築費用が高騰してしまうと手が出せなくなりそうですが、実は「買いやすさ」も今後普及していきそうな動きがあります ⇨

 

ちょっと脱線②
ブランド戦略ごとの価格帯も公開されています✨

建築価格が建築価格がそんなに上がると、ちょっと困りますよね。住宅を購入する人も減ってしまいそうです。なので、積水ハウスさんももちろん手を打ち始めています。それが「セカンドブランド戦略の強化」です。まずは、積水ハウスさんのブランド戦略や狙いから眺めていきますね。

 

 

・積水ハウスさんのブランド戦略(想定価格帯含め)

 

中期戦略資料に、以下戦略・狙いがしっかりと掲載されています。

 

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上記の通り、積水ハウスさんは現在3つのブランディング戦略で、戸建市場を攻めています。ファーストレンジの「積水ハウス ノイエ」、中高級の「積水ハウス主流商品群」、5000万円以上の「積水ハウス 最高スペック商品」。

 

この中でこれから更なるテコ入れを計画しているエリアが「ファーストレンジ」です。

(コメント:ここからは「ノイエ」に注目していきますが、実は上記資料って、他にも興味深い情報が多く記載されていますよね。まず、「主力製品」の価格を戦略的に高めていることがわかります。今後、積水ハウスさんでダインコンクリートやベルバーンといった外装を用いた家を建てるには4000万円前後は確実に必要となりそうです。ネット上では「見積もり公開します!」といった情報をたまに見かけますが、少しでも古いとあまり参考にならないことが分かりますね…

 

一方で、2000-3000万円の価格帯が空いてしまいますので、これからご紹介する「ノイエブランド強化」によってカバーすることがブランド戦略の骨子となっていることが見えてきます。こちらをもう少し見ていきます⇨)

 

 

■ 積水ハウスさんのセカンドブランド戦略:積水ハウス ノイエの普及に向けて

 

下の資料は、中期計画説明会のAppendix資料です。
(コメント:個人的に、Appendix資料が結構好きです。本論ではあまり触れない細かさでも、実は面白い情報がたくさん載っています♪今回は深掘りしませんが、この資料内に「中高価格帯と更なる高価格帯の販売分布」が載っている点も大変興味深いですよね。さすがに具体的な価格は載っていませんが、積水ハウスさんの平均価格は高価格層によって引き上げられていることも想定できます。先ほど「最新の平均単価は4,394万円」とご紹介しましたが、高級層を除くと平均が4,000万円強あたりとなりそうですね。あ、こちらは完全に想像ですので、話半分でお願いします  。では、本題に戻ります⇨

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21年度は積水ハウス ノイエブランドで593棟(前年比25%増)となっています。

 

そして、これからはノイエブランドがもっと強化される見込みです。なぜ分かるかと言うと、直近の決算説明会(2022/6/9)の質疑応答にて以下のようなやりとりがあったことが公開されているからです。

説明会での質問:戸建住宅は 1 棟単価が上昇する一方、戸数ベースでのシェアが減少しているように見えるが、今後の方針は?

回答:主力である中高級商品が堅調。高付加価値提案で単価が伸びている。一定の耐震基準、断熱性能を満たし、 2300 万円前後の価格帯のファーストレンジのノイエを今後拡大させる。コロナ影響により遅れていた、人材投入を進 め、ファーストレンジを拡大するのが第 6 次中期経営計画の課題と認識している。

戸数ベースでのシェア減少に対応するために、人の配置転換なども含めてファーストレンジの積水ハウス ノイエを強化していくことが明記されていますね。そして、その価格帯は2300万円ほどです。先ほど触れた平均価格は4,394万円でしたので、明らかに異なる価格帯への積極参入となります。

ちょっと脱線③
積水ハウス ノイエの狙いとは?(妄想です)

ここまでの内容は基本的には事実や公開資料に記載のある情報ですが、ここからの以下内容は各種戦略資料を眺めた上での想定(妄想)ですので、気楽に流して下さいね (笑)

 

 

■ 積水ハウス ノイエでの狙いとは?

 

 

「積水ハウス」と「積水ハウス ノイエ」は価格が異なるためしっかりと差別化されていますが、今後「積水ハウス ノイエの『商品力と品質』を強化する」とコメントされていましたので、近い将来によりお得感のある家が出てきそうですね。

 

 

最近は「シンプルで、高断熱高気密で、耐震等級が優れ、コストパフォーマンスが良い家」が人気だと感じていますので、このエリアに製品投入することを考えていらっしゃるかもですね。

 

狙いがうまくいくと、「性能・信頼・安さ」を兼ね備えた家となり、戸建建築業界でちょっとした台風の目になるでしょうか?

 

ただ、中高価格帯の「積水ハウス」ブランドとのカニバリゼーション(ざっくりとは、自社ブランド内で顧客を取り合ってしまうこと)が発生しないように、今後注意深く仕様検討されるのだと思います

 

(安全を犠牲にすると、積水ハウスブランド全体に影響が生じるため、デザインと快適さ等の仕様で差別化されるように感じていますが、どうですかね。)

 

 

と、素人の妄想を勝手に進めてしまいすみません(笑) ただ、投資家向け情報って「とっつきにくい」イメージがありますが、こんな感じで会社が計画中の少し先の戦略も滲み出てくるので、それらをヒントに楽しく将来分析(妄想)することができて、意外に楽しい情報なんです♪)

 

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おわりに

他にも「経営の安全性に関する指標の推移(徐々に着実に向上)」「戸建事業の状況(最近日本は若干減少、海外が伸びる)」「積水ハウス全体の事業バランスの変化」「データ活用の最新進捗(最近特に重視、事業貢献はこれから)」「注力する海外ビジネスの最新状況(米国金利急上昇の影響は?)」なども面白いと感じたのでご紹介しようと思っていたのですが、ちょっと長くなりすぎてきたので、今回はここで終えますね。またいつかのんびりと書いてみようと思っていますので、その際にはまたサラッと眺めて下さると嬉しいです。

 

 

「投資家向け情報を見ることって、意外に楽しいね」や「積水ハウスさんって、やっぱりすごいなぁ」なんて思って下さると嬉しいです♪

 

 

とんでもなく長くなってしまったのですが、最後までお読みくださり、ありがとうございました!

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